不登校・ひきこもり支援のことを考えよう『コレクティブインパクトって知ってますか?』

アニです。

2月は講演会の運営と後処理でバタバタしておりましたので、更新怠けてました。ごめんなさい。

さて今回ですが「不登校・ひきこもりの課題を解決するにはどうしたら良いか?」を考えてみたいと思います。

当然ですが、支援者向けのお話になっています。ただ家族会や当事者会などにボランティアとして参加されている準支援者みたいな方、他分野で非営利活動をしている方にも参考になるかと思います。最近、支援者向けばっかですね…

テクニカルな話なので、興味のない方はスルーでお願いします。その筋の人しか面白くない話ですので(笑)

『コレクティブインパクト(Collective Impact)』って何ぞや?

いきなりの専門用語ですね。アニも初めて聞いた時は「意識高い系の人が自慢げに使う謎の英語か?」と思いました。

コレクティブインパクトとは支援の方法論です。2011年に論文で発表され、ここ数年、ソーシャルビジネス(社会的課題の解決を図るための取り組みを持続可能な事業展開。要はNPOなどがやっていること)の場で取り上げられるようになりました。

直訳は分かり難いので、アニ的に要約すると「みんなで一緒に、関連のある色々な課題に、同じ気持ちを持って取り組もう」ということです。モヤっとしてますね。

普通の支援との違いは何?

対義語の『アイソレーテッドインパクト(Isolated Impact)』の方が理解しやすいと思います。

アニ的要約だと「自分一人で課題に取り組む」ですね。何か寂しい。しかしながら一番多く行われている支援です。

例えば講演会。アニはお手伝いで2月に講演会を運営していました。この講演会は長崎県ひきこもり家族会『花たば』主催し、主に家族の方を対象に、不登校・ひきこもりの自立に関しての講演でした。

アイソレーテッドインパクトは「一つの団体が、特定の対象に対して、特定された内容を行う」ことだと考えて差し支えないと思います。

他には親の会や保健所が運営している当事者の居場所、NPOなどが行っている自立・就労支援、行政や支援団体が行っている相談業務など。アニが行っている情報誌やこのホームページもそうです。

支援活動と呼ばれているほとんどのものがアイソレーテッドインパクトです。

みんながそれぞれで支援に取り組むことは非常に素晴らしいことです。ただ支援できる限界も存在します。

当事者の居場所に参加している当事者が「バイトしたい」と思っても、居場所の運営側としては手に余ると思います。自分で探すか就労支援を自分で利用するか、いずれにしても当事者自身がどうにかするしかありません。

家族会に参加している家族が「実は子どもが病気でどうしたらいいか」と聞かれても、家族の人たちは病院の噂を教えるぐらいしかできません。

相談機関は相談を受け助言や他団体を紹介するのが職務です。実際に直接支援する団体ではありません。

不登校・ひきこもりは現象に過ぎません。それにまつわる原因・理由、そして結果は様々です。例えば…

例①「離婚⇒収入が減り貧困⇒塾など友達のコミュニティに経済的理由で入れない⇒学校で居場所を失くす⇒不登校⇒家に居たくないので夜遊び⇒悪い人に声をかけられる」

例②「いじめ⇒先生に相談しても対応が悪い⇒人間不信⇒不登校⇒年月が経ち学齢期を過ぎる⇒仕事に就ける履歴を持ち合わせない⇒就職が難しい⇒ひきこもりの継続」

例③「ブラック企業で精神を病む⇒仕事を辞める⇒ひきこもり⇒若者支援・就労支援を受けられる年齢でなくなる⇒親も歳を取り支えられる状態でなくなる⇒家族で生活できなくなる」

これら全てに手を差し伸べることができる支援団体は相当限られるでしょう。

しかし各々の課題に対応できる、各々の団体は存在します。この団体たちが協力して不登校・ひきこもりに関連する課題に対処することができればどうでしょうか?

コレクティブインパクトとは複雑化した課題を多様な方法で様々な団体が一致団結して対処する方法です。

コレクティブインパクトの成立条件

コレクティブインパクトは行政機関などが設けている連絡会的集団(コミュニティ)より一歩踏み込んだものです。より具体的な目標や行程があります。

コレクティブインパクトには5つの成立要件があります。英語ばっかですが、アニが決めた訳ではないですよ。外国の偉い先生が決めました。たぶん。

共通の方針・目的(Common Agenda)

選挙とかでアジェンダって聞いたことありません?

みんなが最終的に目指すゴールのことです。

評価の共有(Shared Measurement)

測定(Measurement)つまり評価の基準や方法がみんなでシェアされてないといけないということです。

通知表だって今と昔じゃ大分違うと思います。同じゴールを目指すなら、今どのくらい頑張っているかも、みんなと同じように理解しないといけません。

互いに補い合う行動(Mutually Reinforcing Activities)

「相互協力」の方が分かりやすいがします。

コレクティブインパクトでは複数の課題にみんなで取り組みますから、当然「自分のところじゃこれは無理」というのがあります。

自分に無いものは、他の団体にお願いして補います。

継続的なコミュニケーション(Continuous Communication)

色んな人が様々な団体から参加しますから、感覚や意識も各々違います。

よく話し合わないとバラバラになってしまいます。

サポートする組織(Backbone Support)

みんな同じゴールに向かって、同じ評価基準を持って、互いに助け合い、話し合いながら、課題に取り組む。

これを全体で支える集団が必要となります。会議の時間調整だけでけっこう大変ですから。

コレクティブインパクトは難しい…でも

前の文章を見て「これって無理ゲーじゃね?」と思った人。大正解です。

人・時間・金を、課題に対して集中的に、そして大規模に投入できるのがコレクティブインパクトの強みです。上手くいけば色んな問題が解決する。

しかしこれを実現するのは本当に難しい。例えば…

  • 方針とか評価方法とか決めないといけないけど、結局偉い人が勝手に決めてドン引き
  • 互いに助け合うって言っているけど、実際にどんな連携をするのかモヤっとしか決まっていない
  • 参加したけど何もしない。良いところだけもらおうとするやつがいる
  • 直ぐに結果出ると思ったけど、全然ダメ。もう無理
  • 金がない。人がいない。情報がない
  • みんなで情報共有して満足
  • あいつ(あの団体)と一緒に仕事したくない
  • 自分がしなくても、どうせ誰かがやってくれるでしょ?

これらはコレクティブインパクトに限らず、集団で何かしようとする際によくある不平不満や失敗です。

コレクティブインパクトの目指すところは、いわゆる社会変革です。社会変革を起こすためには、こういった不平不満や失敗をしないように、人の心を動かさないといけません。

人の心を動かすためには、すごく地味な話し合いの積み重ねや議論の繰り返しが必要です。結果も一発逆転といった分かりやすく即効性があるものではありません。

人・団体間の利害関係の調整はこの社会で最も難儀なことです。もし自分一人で全てを変えられるなら、そうした方が楽です。

しかし現実として一人で解決できる問題、一つの団体が対処できる課題は限られています。

アニはコレクティブインパクトに関する事例を聞く機会が何回かありましたが、正直「自分には無理だな」とか思っていましたが、それと同時に「もし可能なら、きっと不登校やひきこもり支援の現状に必要なこと」とも思いました。不登校・ひきこもりの課題ほど複雑で広範囲なモノはないからです。

これをご覧になっている支援者の方など、一度コレクティブインパクトについて考えられてはいかがでしょうか?

インターネットにはソーシャルビジネスのことを専門に情報発信しているサイトもいっぱいありますので。


今回は以上です。また小難しいテクニカルな話で申し訳ない(苦笑)

コレクティブインパクト自体はもう時間経った感じがありますね。今のトレンドは休眠預金とかSDGsの方でしょうか。

不登校・ひきこもりに限らず、ソーシャルビジネスやボランティアの団体を真剣に運営する気がある方なら、今回の話も含めて関心を持って損はないと思います。

そうでない方はスルーが一番です。

今回は直接不登校・ひきこもり支援に関わりのある話ではありませんでしたが、こういった側面も理解しつつ支援とかやるとけっこう違うかなと思います。


この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です