親の会たんぽぽ主催イベント『答えのないシンポジウム』に参加してきました
アニです。
親の会たんぽぽ主催イベント、不登校・ひきこもり当事者・経験者による『答えのないシンポジウム』に参加してきました。今回のイベントは宮崎の当事者活動人・聞風坊(もんぷうぼう)さんによる講演、その後、聞風坊さんを交えてのパネルディスカッションです。
10月8日のイベントなので、もっと早く書けよって話なんですが、色々と忙しかったので勘弁です。
聞風坊さん講演『標準から外れた生き方で生きている』
聞風坊さんは宮崎県生まれ。30歳を前に退職して3年ほどひきこもり生活を送られています。その後、自助グループやボランティアを通じて社会への関わりを持ち始め、経験を活かして支援活動を行っておられます。今はカウンセラーをしながら『聞風坊のブログ』にて情報発信を行っています。
講演は聞風坊さんの幼少期から支援に携わるようになったぐらいまでの経験を中心に語られました。
実は聞風坊さんは不登校体験はないそうです。色々な事情で家庭にいる方が心理的に不安で、いじめは受けていたそうですが無視という形だったので、その方がマシだったそうです。
進学し就職するも鬱症状を発症し、ひきこもり生活へ突入。聞風坊さん曰く、親との戦いによる「立てこもり」。親と分かり合えないと感じた聞風坊さんは、自助グループに出会い、自ら自助グループを立ち上げるなどしました。
聞風坊さんはセルフリペアレンティング(自分で自分の癒されていない部分を育てなおしていく方法)を用いて、自分探しではない「自分の再構築」を行い、心理的に改善したそうです。「何が好きで、何が嫌いか」など、自分自身へ問いかけながら、自分をデザインしていく作業。ここらへんは、聞風坊さんの特徴的なとこかもしれませんね。
就職した後も社会との折り合いに苦悩しているようで「まるで火星人のよう」と表現されていました。自立生活しても心理的な課題は解決しない。
概ねこんな感じのお話でした。もっと話されてましたが。
アニ的には「おつらいんですね」「勉強になります」と言う相談員にイラっとしたという話が一番面白かったです。こういう相談員は全然共感とかしてくれませんもんね。場合よっては、こっちを下に見てる感じすらあります。
答えのないシンポジウム
こんな配置のシンポジウム見たことありますか?
中央のブルーシートに座って、シンポジストがパネルディスカッションするという形式です。文字通りの座談会です。
シンポジウム前半
まず聞風坊さんに加えて、不登校・ひきこもり情報誌『今日も私は生きてます』編集部から美雪さん、不登校ひきこもり情報たーみなるinながさきの管理人アニ、進行役の親の会たんぽぽ・古豊慶彦さんの4名によるパネルディスカッションでした。
トークテーマを設定して、それぞれが意見を言って、特に着地点(答え)を求めないスタイルで、当事者の居場所でのフリートークみたいな感じでした。
アニは喋りながらだったので、ちゃんとメモできなかったのですが、覚えている限り書きますね。
ひきこもりが遊んで何が行けない
親の側でボーダーラインがあるという話になりました。TVゲームやインターネットはNGでも、野球(アニの趣味)は外出するからOKとか。遊んでるのは一緒なんですが。
不登校だからって優しく特別でいい子なわけじゃない
これは美雪さん発信のテーマでした。あるんですよね。「不登校の子は繊細」とかいう神話的なものが。美雪さんは「重たい」みたいな話をしていたと思います。
アニも言われたことがあってウンザリしたのを覚えています。お察しの方もおられるでしょうが、アニは性格が悪いです(笑)
思い出を共有できない
いわゆる「学校あるある」は学校行ってないと分かんないですよね。社会人になった時、学校の頃の話についていけないとか、それこそ「ひきこもりあるある」です。
友達ってどうつくる?
アニはですね、何でも話し合えるような親友みたいなのに憧れはするんですが(自分で友達いないって言ってますね…)
何かこうベタベタするのが好きではないんで「自分では親友とか無理だな」とか思ってます。意図的に友達作ってない感じです。べ、別に強がってなんかないですよ(笑)
風呂入らない
不登校やひきこもりになると生活自体が乱れるんですが、特に風呂入らないは衛生的にも拙いんで、けっこう問題視されますね。
親とはわかり合えない
聞風坊さんの講演でもありました。美雪さん、古豊さんはどちらかというと「親とわかり合う努力をする、親に求める派」のようです。聞風坊さんとアニは「親とはわかり合えない派」でした。みなさんはどっちですか?
シンポジウム後半
後半はシンポジストに加えて、会場の参加者からトークをしたい人を募り、ブルーシートの上で話すというものでした。
事前打ち合わせで「どうせ誰もおらんだろう」と話していたのですが、あれよあれよと増えて、最終的には4人もの強者(?)が集いました。
トークする人増えて、アニは益々メモできなかったので、完全にうろ覚え感ありますが、書けるだけは書きますね。
ひとり暮らしのひきこもり/女性のひきこもり
女性の当事者の方からの話でした。ひとり暮らしだと、自立しているから問題ないと思われるし、女性だといわゆる「家事手伝い」として扱われるので、ひきこもりとして認知してもらえない。みんなに理解してもらえないことが多いと話されていました。
親が死んだら子どもはどうなる?
これは当事者家族のお父さんからの発言でした。ひきこもり高齢化に伴い、8050問題と一緒に論じられることが多いOSD(親が死んだらどうしよう)問題ですね。親にとっては切実な課題です。
この話の中で古豊さんが言われていた「“生活する手段としての親がいなくなる”ことで心配なのは分かるけど違う」というのが心に引っかかってますかね。
ここからはアニの推測や考えも交えてになりますが、確かに親が死ぬと生活が苦しくなります。それを心配して、今から色々と備え、そして当事者にも最低限のスキルを身に付けさせようというのは、理論的には合ってます。
ただ問題なのは、これを考えている親って、すでに「子どもとわかり合う」ことや「今の状況や関わり方をどうにか良くしよう」という意識ってないですよね。子どもがどういう形にしろ、何とかやってくれることを諦めてる。期待してない。希望も持ってない。
そんな親に子どもは心開きますかね?
親の心配な気持ちは理解できますが、どうなるかも分からない未来ばかり心配して、今を疎かにしているようにしか感じないです。ちょっと手厳しいですかね。
答えが出ないに耐える
誰だって答えは欲しいものですが、答えが出ない時もある。不登校やひきこもりの課題は人それぞれですし、課題に向き合う方法もそれぞれです。
この答えがない状況に耐える力も、不登校やひきこもりに向き合う上で必要じゃないか。『答えがないシンポジウム』に相応しい最後のテーマでした。
こんな感じのシンポジウムでした。
ちょっと人数少なかったのが残念でした。お祭りにはかなわない(苦笑)
様々なテーマを多岐に渡り話して、しかも参加者も巻き込んでというのは中々ないかなと思います。何か偉い人が来て朗々と話すシンポジウムより、意味もあって、何より楽しかったです。
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