ひきこもっている子どもにお小遣いをあげるのはどうなの?(ちょっとだけ追加版)

必死なトリ前回のブログ「ひきこもっている子どもの金遣いが半端なくて困っているんだが…」の続編です。

不登校ひきこもりの当事者は大抵の場合、お金を持っていません。持っているとしたら就労していた時に貯めた大事な貯金です。

とはいえ、ひきこもっていても何かと物入りなのが世の中。貯金を一定額持っている人は切り崩しながらやり繰りが可能です。でも「仕事をしたことがない人」「貯金が残り少ない人」にとっては家族からの「お小遣い」が必要となります。

1:「お小遣い」を渡すと就労意欲がそがれる?

「お金が欲しいなら自分稼げ」というのは真っ当な意見だと思います。「小遣いを渡すとお金を自分で稼ごうとしない」というのも分かりやすい理屈ではあります。

では実際にこんなことを言って当事者が「がんばって仕事しよう!」となるでしょうか?なるかもしれませんけど、ならない可能性が高いと思います。それは何故か?

アルバイトをしようにも…

例えば日雇いアルバイトをやろうと考えたとします。まず必要なのはアルバイト情報の収集です。情報収集には主に3つの方法が考えられます。1つ目はインターネット。2つ目はハローワークへ直接行く。3つ目はバイト案内をしているフリーペーパー。

インターネット

まず自宅にインターネットが出来る環境かスマートフォンがないと無理です。

当然ダダで利用は不可です。スマートフォン利用額は月平均6000円~7000円が相場です。インターネット利用額も似たり寄ったりですね。

ハローワークへ行く

外出すら厳しいのに、更にハローワークなんてハードルが高い気がしますが、気合を入れて行けるとします。でも今持っている服装で外出は可能ですか?部屋着そのままで外出はいかがなものかと思いますし、何より「だらしない服装=だらしない人」と見られ誤解を受けるのが世の常です。

フリーペーパーを取ってくる

コンビニにも置いていますから、比較的楽に情報収集できます。ただ大抵はアルバイトをしてくれそうな若い世代向けの作りになっていますから、自分でもやれそうなアルバイトが掲載されているかは別の問題です。

いざ面接!履歴書記入!

何とか自分でも出来そうな仕事を見つけたとします。早速電話をして面接の予約、そして履歴書を書かないといけません。履歴書の書き方は別途投稿しようかなと思っていますので悪しからず。お出かけトリ サイズ小

履歴書に必要なモノ

当たり前ですが、履歴書自体が必要です。100均で買って来るなり、インターネットからダウンロードするなりしないといけません。

次に証明写真。パスポートなんかのための写真機を利用するとしたら平均700円~800円ぐらいは必要です。最近はスマートフォンのアプリに証明写真を撮れる機能があるので、そちらがオススメです。こちらは100円ぐらいで済みます。

持参の場合は不要ですが、郵送するための封筒と切手も購入しないといけません。

ちなみにアルバイトでは必要ありませんが、就職する際には卒業証明が必要です。大学の場合、300円+郵送代ぐらいあれば足りると思います。

面接に必要なモノ

ハローワークのところでも少し書いてありますが、服装は大事です。例え日雇いでもジャージは厳しいでしょう。それなりの身なりが必要です。

連絡のための携帯電話も必須です。自宅の電話でやり取りなんて今時ないでしょうし、敬遠されます。

「必要なお金をその時に渡せばいいんじゃないの?」という疑問

そう考える方も多いと思います。では仮にその時々にお金を渡すこととします。その時、お金を渡す側、渡される側が何を思うでしょうか?

お金を渡す側

アルバイト応募のために必要な資金を渡すのですから、就労への一歩という期待値が上がります。例え失敗しても良いと考えていたとしても、そうなった時の失望感はそれなりにあります。

お金を渡される側

アルバイト応募だけでも心理的にハードルが高いのに、更にお金を渡す家族からも期待を受けます。プレッシャーを感じることでしょう。仮に失敗した時のバツの悪さといったらありません。

アルバイトとはいえ、簡単に契約成立という訳ではありません。失敗はあります。期待と失望の繰り返しは双方にとって心の重荷となります。この心の負担が却って就労意欲を下げる結果につながることは容易に想像できると思います。

2:お金を持っていないと外出できない

みなさんの外出する楽しみとは何でしょうか?

もう散ってしまいましたが、桜を見に行くのも楽しいです。美術館・博物館・図書館に行って静かに過ごすのも悪くないですね。ウィンドショッピングで欲しいものを探す時間も良いかと思います。スポーツするのも悪くないですね。

こういった外出をする際に、全くお金を使わないことがあるでしょうか?哀しいトリ サイズ小

どこに行くにしても交通費はかかります。施設利用料が必要な場合もあります。買う見込みのないウィンドショッピングは味気ないものです。何より喉だって渇きますし、お腹だって減ります。

外出するということは、即ちお金を使うということです。転じて、お金を使わないということは、即ち外出できないということでもあります。

つい「少しは外出しろ」と言ってしまう家族の方は多いと思います。当事者がずっと家にいるだけでは不安に駆られる。とても理解できます。しかし外出できるだけのお金を当事者が持っているでしょうか?

3:友達付き合いもお金次第

外出するのはお金が必要です。当然、友達と外で遊ぶのもお金は必要になります。ゲームセンターやカラオケにお金は必須です。フリースペースのような居場所に行くにしても交通費・飲食代から、場合によっては利用料がかかります。

お金がなければ、友達付き合いも減ってきます。いずれ友達もいなくなるでしょう。必要最低限の遊ぶお金は確保しないといけません。

4:ひきこもっていてもお金は使う(インターネット・スマートフォンの利用)

インターネット・スマートフォンを介したやり取りで、人間関係を構築している人も少なくありません。また就労のところでも書いたように情報収集の有力なツールでもあります。現代においてインターネット利用をしないことは考えられないと言って過言ではないでしょう。

こういった衣食住以外で生活環境の支えるツールを与えることも重要なことです。これもお金なしでは利用できません。

5:ひきこもっていても欲しいものはある

欲しいものは必ずある

家でのひきこもり方というのは、各々のケースでまちまちだと思います。ですが「もう何もいらない」ということは少ないと思います。人間ですから何かしらの欲求はあるものです。

手持ちのお金をどうにかやり繰りして買う分には問題ないと思います。むしろ自分で計画を立てて、お金を貯めて買ったものですから。がんばった成果です。もちろん家計を圧迫するような法外な物は論外です。それこそ「自分で稼いで買うべきもの」ですから。

重要なのは限られた条件の中で「自分で勝ち取った物」である点です。「与えられた物」では意味がありません。

「何もいらない」と言っている場合

もし仮に当事者の方が「もう何もいらない」と言っている場合、ちょっと注意が必要です。

「自分には資格がない」「自分には必要ない」とも言ってはいませんか?自分の所有物をやたらに捨てたりしてませんか?ひどく焦った様子ではありませんか?

何かを求める・欲するというのは人間の根源的な感情です。それを否定するということは人間性自体を否定することにつながりかねません。「何もいらない」ということは「自分を人間扱いしていない」とも言えます。つまり強い劣等感や自信喪失、将来への苦悩が見受けられる状態です。

6:お小遣いの金額ってどのくらいが適当?

各家庭の家計の状況もあるので、一概には言えませんが…以下の出費を賄えるだけの金額は確保するべきだと思います。

携帯電話の料金

プランによって様々ですが、基本料(通話代)だけなら月2000~3000円程度のものがあります。バイトするにしても携帯電話は必須です。

スマートフォン、インターネットの利用料金

パケット通信はやり取りする情報量で金額を決定する方式です。GB(データ量の値)の多さで金額を決めています。例えばYouTubeの10分ほどの動画は約45MBを使用します。「1000MB=1GB」ですので、2GBの契約だと月45回程度利用する計算になります。実際には動画が高画質の場合などありますので、もっと利用回数は減ります。ちょっと分り難かったでしょうか?

要約するとYouTubeなどスマートフォンでパケットを使用する人は5GB以上の契約じゃないと厳しいということです。5GBの契約となると月5640円となります。これに上記の基本料(通話代)が加わります。どの会社もほぼ一緒だと思ってください。

光回線だと月6000円もあれば大丈夫かなと思います。

特にパケット通信はインターネットとつないでいる時間ではなく、インターネットから送られる情報量によって金額が上下します。油断すると高額になりやすいので注意が必要です。

外出可能な交通費・飲食代

週に一回程度の外出、交通費往復600円、一回あたりの飲食代400円として月4000円~5000円は必要だと思います。

買い物・娯楽のためのお金

3000円ぐらいの余裕がないと色々と遊べないですね。買い物も難しいです。喜びトリ サイズ小

1カ月あたり、どのくらいのお金が必要?

ざっとした計算ですが、光回線利用(約6000円)、携帯電話基本料(約3000円)、交通費含むのお小遣い(8000円)で合計17000円は必要だと思います。

まあインターネットやスマートフォンのパケット代などは衣食住に近いインフラですから、当事者個人だけが必要なものではありません。支払いは家族まとめての方が多いと思います。実際に手渡しすべきお小遣いは最低限のラインとして8000円。この程度あれば外出に困らないと思います。

この8000円をどう使うかは当事者自身が決めることです。もしかしたらアルバイト応募のために使うかもしれません。

7:お小遣いで賄えないお金はどうしたらいい?

お小遣いだけではどうしても賄えない出費というものが存在します。その時はじっくり検討してあげてください。以下はアニが考える検討する価値のあるもの、お小遣いから出費すべきものです。

検討する価値のあるもの

学費など勉強に必要な費用/バイク・車など交通手段として必要な道具/外出するために必要な最低限の衣服/就職活動などに必要な礼服/友達と遠方に旅行する際の費用(年1回程度)など

お小遣いから出費するべきもの

カラオケなどの娯楽の費用/趣味に必要な物品の購入費/ギャンブルなど遊興の費用/菓子・酒・タバコなどの嗜好品など

ただ依存症関わる出費(ギャンブル・酒など)は専門家の方と相談の上、慎重に対応してください。

ちょっと判断が難しいもの

一番難しいのはパソコンではないでしょうか?インターネットを使用するだけならスマートフォンやタブレットを持っていれば事足りますので、購入の優先順位的には重要ではありません。

ただ、パソコンがどうしても必要な場合は検討する必要があるでしょう。例えば仕事でどうしても必要になる場合、パソコンでしかできない作業がある場合(Word、Excel、デジタルでの作画など創作活動に関わるツールが代表的ですかね)、スマートフォンやタブレットを持っていない場合は検討する必要があります。

しかし、インターネットを利用したオンラインゲームを快適に行いたいため高性能のパソコンを必要とする場合があります。ゲーム機も同様です。なるほどトリ サイズ小

息の詰まる毎日で、ゲームにしか逃げる場所がないのも当事者として本音ではあります。ですが、何もかも家族に頼んで高額な機器を調達しても、それはそれで「家族に頼ってばっかりの自分」と自分を追い込むきっかけにもなります。アニはゲームをかなり嗜みますが、ゲームに関わるものは自力で調達するようにしています。負い目を感じてゲームをしたくないためです。

それでも「ゲームしたい!」という場合。その時は前向きに検討してあげてください。特に就労機会が少ない不登校の当事者からのお願いは叶えてあげてください。ただし、自分の趣味に関することは、徐々に自力で調達できるようにするのも大切だと思います。そのためにも「お小遣い」は重要な手段だと考えます。

ちなみにデスクトップ型のパソコンは3~5万円からあり、安くて最低限の性能です。とはいえWord、Excelを扱うには十分なものです。10万円以上だと高性能なものです。先ほどのオンラインゲームを快適に行う場合、イラストレーターなど画像処理ソフトを使用する場合はこの価格帯になります。ノート型はデスクトップ型より1.3~1.5倍程度割高になります。

パソコンは用途によって要求される性能が違います。パソコンで何をするのかを慎重に考えて選んでください。広告や販売員の人の雰囲気に流されて、不要な機能が付いたパソコンを買わないように気を付けましょう。

お小遣い以外で支払っても大丈夫なお金

外出と友人関係を維持できる程度のお金、就労・就学に必要な投資は支払っても大丈夫なお金です。それ以外の趣味や遊びに関わるお金は自身のお小遣いからどうにかするべきお金ということになります。

ただし「どうしても必要だ!」と主張する場合は必ず検討してください。しっかり検討した上で、購入の是非を決めてください。丁寧に説明することが重要だと思います。


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