子どもの権利条約ながさきネット主催イベント『「SSW(スクールソーシャルワーカー)」って、なぁに??』に参加してきました

アニです。

イベント参加を書いたのはホント久しぶりです。怠けてた訳じゃないですよ(;´Д`)

さて今回は子どもの権利条約ながさきネット主催、 第4回子どもの権利フォーラム『「SSW(スクールソーシャルワーカー)」って、なぁに??』に参加してきました。

まずもってスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)ってご存知でしょうか?

だいたいスクールカウンセラー(以下、SC)と混合されがちですね。

カウンセラーが精神的な面でアプローチするのに対し、ソーシャルワーカーは福祉の視点から環境面にアプローチするって感じでしょう。

例えば、家庭に借金があったりしてお金なくて、親は働いていて家事する時間がない。仕方ないので子どもが家事をやり、弟妹の面倒のため不登校になってしまった。

そんな時はソーシャルワーカーの出番です。精神面からのアプローチで、家庭の経済状況には切り込めないですからね。

今回のイベントでは、実際に長崎県下の公立高校にてSSWとして携わっている
長友睦子さん、そしてSSWに詳しい弁護士の伊藤岳さんから、SSWの実情や長崎県での状況などに関しての話をお聞きしました。

アニ的な理解ですので「それ違うよ」ってとこがあったらすみません。

スクールソーシャルワーカーの役割と意義(長友睦子さんのお話)

まず現役のSSWである長友睦子さんから、SSWの概要やどんな役割を担っているのかなどのお話がありました。

スクールソーシャルワーカーの導入の背景

学校での不登校、暴力行為、いじめなど一向に減らない現状。特に最近なら児童虐待が注目されていました。

また障がい、LGBT、日本外にルーツを持つ子たちなど、デリケートなケースも多様化しています。

こういった現状の中で、学校の先生は「どうしたらいいかわからない」状況に陥っています。

何故なら学校の先生たちは、授業の仕方や子どもへの教え方を知っている「教えることのプロ」であっても、子どもたちの環境・背景(例えば家族の現状、本人のパーソナリティなど)へアプローチできる技能は持っていないです。

そこで「福祉のプロ」であるソーシャルワーカーの必要性が出てきます。

加えて「いじめ防止対策推進法」「子どもの貧困防止法」「子供の貧困対策に関する大綱」など関連する法律や方針が示されたのも大きく関わっています。

このような背景から学校にてソーシャルワーカーが導入されるようになったそうです。

スクールソーシャルワーカーの目的と方法

対象はもちろん「生徒」です。では学校の生徒たちにどうなって欲しいのか?

SSWの目的は「(生徒たちにとって)学校の役割を実現すること」であり、生徒の持っている能力を最大限に発達させる教育、それに資することです。

発達障がいの子であれば、早期発見・支援をする。

虐待を受けている子であれば、見つけ直ぐに関係機関に通告、連携をする。

それぞれの生徒が充実した生活を送れるようにするため、子どもを取り巻く環境や背景にアプローチする形で実現する。

SCはメンタルケアを専らとしますが、SSWは子どもの環境をケアします。

スクールソーシャルワーカーの姿勢

以下の7つを肝に銘じて子どもたちと接するそうです。

  • 一人ひとりの子どもを個人として尊重します。
  • 子どものパートナーとして一緒に問題解決に取り組みます。
  • 子どもの利益を第一に考えます。
  • 秘密を守ります。
  • 問題より可能性に目を向けます。
  • 物事を自分で決めるようにサポートします。
  • 個人に責任を求めるのではなく、環境との相互作用に焦点を当てます。

この中でも、特に長友さんが重要だとお話されていたことが3つあります。

可能性に目を向ける

ついつい何か問題があると、その問題自体を解決しようとするのは、ある意味人間の性なのかもしれません。

しかし問題解決はそう簡単なものではなく、大抵の場合、時間を要することは多々あります。

そもそも解決できないこと、一生付き合う必要があるものだってあります。

問題解決ではなく、今をどうするか。今できることは何かを考える。

その子が持っている今の可能性を探り、改善を積み重ねてより良い形を模索していくことが重要だそうです。

自分(子ども)が決める

得てして大人とは、子どもに対して自分の都合を押し付けやすいものです。学校の先生、親、行政など関係機関の担当者、病院の先生など他多数。

例えば不登校。

学校の先生であれば、どんな形であれ登校して欲しいと言うでしょう。

親であれば家庭の都合を考えるでしょう。世間体を考えるなら登校して欲しいでしょう。

低所得の家庭であれば不登校である方が都合が良い、なんてこともあるかもしれません。

もしかしたら、子どもの方は海外留学してみたいとか思っているかもしれません。でも言わないのは「そんなの無理」と反対されるのが分かっているからでしょう。

子どもの意見や意思は見過ごされやすいです。

子どもの意思と決める機会を守ること、子どもの味方であり続けることはSSWにとって非常に重要なことです。

自己決定がしっかりと為されている子は、正直遠回りすることもあるけど、確実に改善に向かいやすいそうです。

長友さんは、とある子が修学旅行に行きたいと言った時、周囲が難色を示す中、説得されたそうです。

個人の責任にしない

例えばゲームばかりをしている子。

大抵の人は「ゲームばっかりしているお前が悪い」と個人の責任にするでしょう。

しかし、SSWは「なぜゲームせざるを得ない状況なのか?」を考えます。

個人への責任追求は安易ですが、解決が難しいことは想像に難しくないのではないでしょう。その程度で止めれているなら、とっくの昔に止めている。

ゲーム以外することがないのかもしれない。アディクション(嗜癖)の可能性もあるかもしれない。強制的に止めさせるとこで、別の問題が生まれるかもしれない。

子どもを取り巻く状況に焦点を当てることもSSWの特徴です。

子どもへの支援の過程

学校の現場で、子どもたちへどのような支援しているのか。その過程を簡単に説明します。

  1. アウトリーチ(当人・家族との面談など)
  2. アセスメント(見立て)
  3. ケース会議での支援計画立案
  4. 支援計画の実行
  5. 計画の評価

後は最初に戻っての繰り返しです。

アセスメントとは「何でこの子は今のような状況なのか?」「何に困っているのか?」といった、いわゆる見立てです。

不登校の子であれば「この子は何で不登校をしているのか?」という分析をします。

このアセスメントはその後の支援の根拠となりますから、これを間違えると全て間違いになる。非常に重要なものです。

また実際に効果があったか検証しなければなりませんが、誰が評価するかによって内容は変わってきます。

長友さんは直接当事者の子に聞くようにしているそうです。子どもの評価が一番正しいと考えているためです。

スクールソーシャルワーカーと周囲のつながり

実際にSSWはどんな人たちに、どんなつながりを持って、どんな働きかけをしているのか?

子どもの周囲の存在

家族はもちろんですが、友人関係もかなり重要だそうです。

友人は学校生活で一番身近な存在です。

あの子とあの子は仲が良くて、あの子とあの子はイマイチ馬が合ってないなど。

人間関係を細かく把握していると、支援に活かすことができるそうです。

チーム学校

SSWは学校において、生徒・保護者・先生の営みを効率的な状態にするために支援します。学校側はSSWを活用し、教職員が“チーム”で生徒を支援します。当然SSWと担任は密に連絡を取っています。

SSWは「チーム学校」を構築し支えるため行動します。

「チーム学校」動きは以下の順序で行われます。前記の支援の過程の1~3ぐらいと照らし合わせると分かりやすいかもしれません。

長友さんが関わっておられる全日制高校の例です。

SSWは配置型(学校に直接配属されている)と訪問型(学校側から要請されて支援に赴く)の2種があります。長友さんは配置型です。

本当は図解した方が分かりやすいのですがご勘弁ください。

1:気になる生徒に関する情報提供・収集

担任など先生、保護者などの周囲の人たち、また本人からも情報を収集します。

2:見立てと振り分け

特別支援コーディネーターと呼ばれる方や養護教諭が子どもの状況の見立てをします。

また担任と相談や事前面談なども行います。

慎重な見立てを経て、精神的なケアが重要であればSC、子どもの環境へのケアが重視されるならSSW、どちらも必要などちらとも。

必要な支援へ振り分けられます。

3:本人・保護者との面接

先ほどの振り分けに従って面談が行われます。SSW・SC別の時もあれば、合同で面談することもあるそうです。

4:対応検討➀

特別支援コーディネーター、養護教諭、担任の間で、面談結果から今後の対応が検討されます。

  1. 面談継続・経過観察
  2. 授業観察・家庭訪問
  3. ケース会議

以上のいずれかの対応が取られます。上2つはもう少し様子を見て対応を再度検討する形です。

5:対応検討②(ケース会議)

ケース会議では、前記の特別支援コーディネーター、養護教諭、担任の三者。そして支援に関係する職員、管理職など、校内外問わず検討に加わります。

支援の方法が決められ実行に移されていきます。

必要に応じて中学校(前の学校)や関係機関を訪問などします。

関係機関

児童相談所、警察、家庭裁判所、医療機関など、官民問わずの連携先です。情報交換や連携などを行っていきます。

ちなみに、これは長友さんが感じる最近の傾向だそうですが、SSW求められるニーズで多いのが医療機関との仲介だそうです。

昔は個性の範疇で済んでいたものが、最近は発達障がいの診断がなされる、または診断を求めることが多くなったそうです。

本人は全く困ってもいないのに、発達障がいという診断がされると周囲の大人が必要以上に不安になってしまう。そんな感じなんだそうです。

スクールソーシャルワーカーの必要性と課題(伊藤岳さんのお話)

後半は弁護士の伊藤岳さんによる、少し第3者的な立場から見たSSWの意義と現状、これからの課題に関しての話をお聞きしました。

伊藤さんは長崎市のSSW事業に関わりがあり、しかも社会福祉士と精神保健福祉士の資格も持たれています。

スクールソーシャルワーカーの必要性

伊藤さんはスクールソーシャルワーカーの意義や必要性に関して3点挙げられました。

情熱だけではどうしようもないこともある

学校の先生はあくまで「教えることのプロ」です。

熱意のある学校の先生は多くいますが、子どもを取り巻く環境や背景にアプローチできる技能があるかは別問題です。

学校に行きたくても行けない状況の子に対して、良かれと思って登校の呼びかけを行ったりすれば、「行きたくても行けない」と思っている子を更に追い詰めることになります。

情熱が空回りし、問題を拗らせてしまうこともあります。

ここに「福祉のプロ」であるSSWの必要性があります。

先生の目線では問題に気付かないことがある

とある子ども食堂関連のイベントでのことだったそうですが、ある学校の先生は「学校では貧困は分からない」と発言されたそうです。

逆にSSWの方は「学校こそ貧困が分かりやすい」と話されたそうです。

前記にあるように、先生たちが専らとしている技能や視点では、子どもの環境や背景に関することに対して気付けないことがあります。

例えば、とあるSSWの方は靴箱を見ると大よそ家庭の経済状態を察することができると言われてたそうです。貧困世帯では靴を頻繁に履き替えることは無理だからです。

子どもと先生が対立することもある

残念な話ですが、生徒と学校が対立するケースもゼロではありません。

先生からの行き過ぎた指導、パワハラ、いじめの助長は実際にあることです。

もし学校側にとって都合が悪い子どもの意思・意見であれば、黙殺されることもあります。

こういったケースの時、子どもの味方であり続ける存在。それがSSWだと話されました。

スクールソーシャルワーカーの現状と課題

とても意義ある存在であるスクールソーシャルワーカーでも、理想と現実の差は確かに存在します。

質が担保されない

近年は改善されてきたそうですが、質の悪いSSWも確かに存在したそうです。

理由は明快で、社会福祉士など福祉の経験や知識がない人間がSSWとして雇用されていたためです。

多かったのが元先生。「福祉のプロ」ではないだけでなく、学校側の味方をしてしまうSSWは質が悪いとしか言えません。

ちなみに長崎県では「社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を有する方、教育と福祉の両面に関して、専門的な知識・技術を有するとともに、過去に教育や福祉の 分野において活動経験の実績等がある方」となっているようです。

雇用条件が悪い

SSWはそれだけでは生活できない職業です。低賃金もありますが、年630時間(配置型)の勤務と決まっています。また単年度の契約更新です。

多職種と比べても冷遇されていると言えます。大抵のSSWはダブルワークをしているそうです。

補足ですが、時間外の対応は個人の裁量に左右されるようです。熱意のある方は時間外でも対応しますが、そうでないならそれまでです。

例えば自殺の訴えなど、緊急性があり時間を選ばない案件などへの対応が、この勤務時間の制限によって難しくなっているそうです。

周囲の無理解

SCと混合されることもあるように、SSWは知名度が低いです。

また教育の現場に、福祉の分野の人間が関わることに対して、学校・先生が抵抗感を示すことも多々あるそうです。

SSWが正しく理解されていないために、苦労することも多いようです。

配置型が少ない

これは質疑応答の時に話題になったものです。長友さんも話されています。

SSWには配置型と訪問型があります。

前者は学校に配置されて、勤務時間の内は生徒たちと接することができます。SSW自身が問題に気付くことも多々ありまし、即応もできます。

後者は学校側から依頼されて初めて問題に関わることができます。生徒の詳細な状態も短期間で把握しなければなりません。

そもそも問題に感じていること自体、先生が感じている問題ですから、的を射ているかは別問題です。

どちらが良いかは自明の理であると思います。

では長崎ではどのような現状なのか?

41校の公立高校の内、配置型は26校だそうです。

長崎市小中学校の場合、全て訪問型です。ちなみに福岡市の場合は自主財源を使って全校配置型なのだそうです。

少なくとも長崎では、SSWが活躍できる土壌が整っていないということです。

以上の課題から、スクールソーシャルワーカーを取り巻く環境が厳しいことを実感できると思います。


以上となります。2時間ぐらいのイベントでしたが、かなりボリューム満載な気がします。

アニはSSWの普及を願って止みませんが、現実はかなり厳しいと言わざるを得ないのかなというのが個人的な感想です。

特にアニが気になった点は3つ。

まず待遇の悪さ。SSWやろうって人増えんでしょう。専門職に対する待遇ではないですね。

次に学校との関われる機会が少ないこと。年630時間は知りませんでした。一日7時間の単純計算で90日しか学校に関われないです。

訪問型はあくまで学校側の便利道具的な扱いにしかならないので、都合が悪い場合(学校側に問題がある場合)は呼ばれません。学校教育の分野は閉鎖的ですから尚更でしょう。

最後に質の問題。講演後に聞いたことですが、長友さんはかなり熱意のある手練れのSSWの方なのだそうです。一般的なSSWの人ではないということですね。

つまり熱意のある人が賢く、しかもかなりの行動力を以て活動すればSSWは理想的な制度になり得るけど、そうでなければ難しいという推論です。疑いの目とまで言っては酷いですかね…。

ちょっと辛口でしたかね。

SSWは良い制度ですし、がんばっている人がいるだけに、どうにかならんものですかね?


この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です